Windows for IoT とは何か?
4月2日よりサンフランシスコで開催中のBuild 2014ですが、組み込みWindowsに関係する発表も出てきました。
Windows to be free on 9” and smaller tablets, also on IoT devices
http://arstechnica.com/information-technology/2014/04/windows-to-be-free-on-9-and-smaller-tablets-also-on-iot-devices/
上のWindows for IoTの正体とは一体何か? ということで、もしかしたらもともと無料の.NET Micro Framework のことかも?と思っていたのですが、確認してみるとIoT向けの新しいWindows OSらしいということがわかってきました。(そのままやん!) これは下のセッションビデオの最後のほうでも紹介されます。
Windows and the Internet of Things
http://channel9.msdn.com/Events/Build/2014/2-511
このWindows for IoTの想定しているハードウエアプラットフォームはキーノートでも一瞬出てきたIntel Quark SoC / Galilleoボードあたりらしいです。Quark SoCは400Mhzクラスの 32bit x86プロセッサとされているのですが、BIOSの代わりに32bit UEFIが搭載されているのと、ディスプレイ出力機能を持たないため、これまでのところWindows OSもDOSでさえも起動できないというハードウエアでした。
ところがこのセッションビデオ中にGalileoボードでVisual Studio 12でビルドした32bit x86コンソールプログラムを実行するデモが出てきます。つまり、ヘッドレスでも動作する32bit x86 Windowsカーネルを開発中のようです。(デモで表示されるファイル一覧の中に、kernel32.dll という怪しいDLLが見えています)
ビデオ中では「詳しくは http://www.windowsondevices.com/ を見てね。乞うご期待。」みたいな感じで終わるのですが、このページに行くとリンクがあって最終的にはWindows Embeddedのページにたどり着きます。つまりこれが Windows for IoTの正体だと思います。じゃあARMバージョンは存在するのか? とかもまた疑問ですが。
Galileo の次には Edison も控えているわけで、これまでLinuxしか動いていないこれらのIoT向けプラットフォーム・SoCの上でもWindows を推していこうという話のように理解しました。
(関連情報)
Quarkを搭載したIntelの開発ボード「Galileo」を試す
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/review/20140131_633020.html
IntelのSDカード型コンピュータ「Edison」の詳細が判明
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/event/20140111_630478.html
(2014年5月2日追記)
本日気がつきましたが、MSDNのハードウエア開発者向けのページ
http://msdn.microsoft.com/library/windows/hardware/dn613854(v=vs.85).aspx
では、Intel製のあたらしいハードウエア開発向けのボード「Sharks Cove」が紹介されています。それはそれとしてこのページの下の方に
Windows on devices
At the Build 2014 conference, Microsoft announced an internal project to explore how to bring Windows to small, connected devices. If you are interested in learning more, send an email to WinDevicePreview@microsoft.com. We'll contact you as soon as we have a build ready to share. We're excited to help you build the next big thing!
のような記述が。要するに Windows for IoT = Windows on devices ということはないでしょうか? (まあ、現状コードネームのようなもので、最終的な名前ではないかもしれませんが...)
Compact2013のVS2013対応アップデートがリリース
以前紹介していたCompact 2013のVS2013対応アップデートですが、3月末に無事リリースされたようです。
Windows Embedded Compact 2013 update release is now generally available
http://blogs.msdn.com/b/windows-embedded/archive/2014/03/31/windows-embedded-compact-2013-update-release-is-now-generally-available.aspx
入手方法は主に下の2通りになるようです。
- 最新の評価版を入手して試す
- MSDN Subscriber Download からDVDイメージをダウンロード
評価版ダウンロードのページは以前からありましたが、ダウンロード可能なイメージが新しいものに差し替えられていました。いっぽうMSDN Subscriber Download は契約している人しかダウンロードできませんが、以下のようにダウンロード可能な.ISOイメージが用意されています。
OEM契約のある人は代理店からDVDが入手可能かもしれません。
実際のアップデート内容に関しては後日検証してみます。
(2014年4月22日更新)
同様にApplication Builder も VS2013対応版がリリースされています。
Application Builder for Windows Embedded Compact 2013
http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=38819
インストールすると、VS2012またはVS2013で Compact2013アプリが開発できる「プラグイン」になっています。適当に作ったCompact2013 SDKをインストールすると、新規プロジェクトでCompact2013対応のネイティブ開発などが可能になります。
※ SDKが無いと何もできないので注意!
パナソニックより5インチTOUGHPADの新モデル
これまでWindows 8とAndroid で展開していたパナソニックのTOUGHPADシリーズですが、Windows Embedded Handheld 8 または Android 4.2を選択できる5インチディスプレイ新モデルが追加されました。
パナソニック、法人向けに5型頑丈タブレット「TOUGHPAD」
http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/20140224_636704.html
Windows Embedded Handheld 8 は Windows Phone 8 のOSを基本部分として利用した組み込み/流通業界機器向けのOSです。いわゆるハンディターミナルとしてWindows Phone 6 やWindows Embedded Handheld 6.5 が利用されてきた領域に後継OSとして用意されました。
もちろん Windows Phone 8ベース(しかも実質Qualcomの スマートフォン向けSOCしかサポートしない) のため、通話やデータ通信機能の実装は非常に簡単だと思われます。(もちろん日本での通信機器としての認定はそれなりに手間がかかります)
また、Phone 8では直接接続可能な周辺機器が非常に限定されるのに対して、Handheld 8ではデバイスドライバーの追加がそこそこ開放されていると考えられます。アプリケーションの開発用SDKはこちらからダウンロード可能で、.NET / C#ベースの開発が可能になっています。
ただ、
- 動作可能なCPUチップが非常に限られること
- これまでのWindows CEベースのネイティブコード記述アプリケーションが一切利用できなくなること
から、ハンディターミナル各社のMobile 6.5 からの移行は一般にはあまり進んでいないと考えられます。
(過去記事) Windows Embedded 8 Handheld 情報
http://cello.cocolog-nifty.com/wince/2013/01/windows-embed-1.html
ところで、パナソニックがWindows Embedded Handheld 8のパートナーに加わったことは1月のNRF Showの時点で明らかになっており、今回はその具体的な製品のお披露目となりました。
http://www.wpcentral.com/panasonic-working-microsoft-build-new-devices-enterprise
1月時点ではどんな機器が出てくるか誰も予想出来ていませんでしたが...こう来ましたか!という感じですね。発売はまだ先のようですが、日本で3月に開催されるRetail Tech Japan 2014 でも触れることができるのではと思います。
Compact 2013 が Visual Studio 2013対応に
先日 Windows Embedded Blog に以下のような記事が掲載されました。
Coming soon: Visual Studio 2013 and other updates to Compact 2013
http://blogs.msdn.com/b/windows-embedded/archive/2014/02/05/coming-soon-visual-studio-2013-and-other-updates-to-compact-2013.aspx
この記事によると、マイクロソフトはこの春をめどにCompact 2013のアップデートリリースを予定していて、その中にはVisual Studio 2013対応も含まれるとのことです。
※ これまでは 「Visual Studio 2012 Update2以降」対応、でした。
振り返ると、Visual Studio の add-in として提供されるようになったCE6/VS2005 以降のPlatform Builderツールにおいて、元のVisual Studioのアップデートに対応というのはこれまでになかった新しい展開です。開発者はこれまで Compact OSのビルドのために最新リリースのVisual Studioからは一世代古いツールを使わざるを得ませんでしたが、最新VSリリースから3ヶ月(くらい) で対応できたのは、(Visual Studio 2012から2013の変更点が小さかったとはいえ)なかなか画期的なことです。
今回のアップデートではこれ以外にも以下のアップデートが予定されているそうです。
- Application Builderのアップデート
- in-box i.MX6 SABRE lite BSP,
- in-box Wi-Fi device driver for TI SDP44xx.
ちなみに、i.MX6 SABRE lite BSPは以下の開発ボードで、2万円強で入手できるもののようです。i.MX6 SABRE lite BSPはのCompact2013 は強力なアップデートになりそうです。
http://jp.mouser.com/new/Boundary-Devices/boundarydevices-SABRELite/
http://boundarydevices.com/products/sabre-lite-imx6-sbc/
おまけ
Compact 2013の現在のinbox BSP は以下です
TI_SDP44XX | CEPC | AMD GSeries | |
CPU | TI OMAP4470 | X86 CPU | AMD G-T56N AMD G-T40N |
CPUタイプ | ARMv7 | X86 | X86 |
リファレンスボード | TEVM4470 (Blaze Tablet2) |
Virtual PC 2007 Client Hyper-V そのほか |
DBFT1-00-E1-EVAL-KT (G-T56N) DBFT1-01-E1-EVAL-KT (G-T40N) |
Embedded Compact 2013をインストールする(その2)
以下の手順は
http://msdn.microsoft.com/en-us/library/jj200354(v=winembedded.80).aspx
を参考にしています。
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5. VS2012 のインストール
ここは特に問題ないと思うので省略します。
6. VS2012 Update 2 (以降)のインストール
VS2012 Update はCompact 2013専用ではなく、すべてのVS2012ユーザーに有効なアップデートです。
Microsoft、「Visual Studio 2012 Update 2」を正式公開
http://www.forest.impress.co.jp/docs/news/20130408_594991.html
もう少し詳しい更新内容が
http://support.microsoft.com/kb/2797912/ja
から参照可能です。
Update 2 ではExpression Blend 4の機能がVSに統合されCompact 2013からも利用されると考えらえます。
インストールが完了した後は、コントロールパネルの「プログラムと機能」で「インストールされた更新プログラムを表示」を選択すると、
Visual Studio 2013 Update 2 (KB2707250)
と表示され確認することができます。
7. .NET Framework v3.5 SP1のインストール(確認)
そもそも.NET Framework v3.5本体は、Windows7とWindows8ではインストーラではなく、コントロールパネルの「プログラムと機能」から「Windows機能の有効化と無効化」で有効にします。
.NET Framework v3.5の機能を有効にしたあと、SP1にアップデートする必要があります。あるいはWindows Updateで勝手にインストールされている場合もあるようです。以下の方法で v3.5 SP1 が使用可能になっていることを確認します。
Windows Tips: .NET Frameworkのバージョンを確認する方法
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1210/26/news086.html
インストールされている Microsoft.NET Framework のバージョンおよびサービス パック レベルを確認する方法
http://support.microsoft.com/kb/318785/ja
8. Application Builder for VS2012のインストール
ダウンロードした VSEmbedded_AppBuilder.exe を実行してインストールします。
Setup Successful!
と表示されると、Application Builderのインストールは終了です。
9. Windows Embedded Compact 2013本体のインストール
ダウンロードしたDVDイメージをマウントし、WindowsEmbeddedCompact2013.exeを実行するとインストールが始まります。
Windows8ではダウンロードした.ISOファイルをExplorerでダブルクリックするとマウントされます。Windows7ではVirtual Clone Driveなどを利用してマウントするとよいかもしれません。
この後、インストールキーが要求され、またライセンスアグリーメントに同意すると、インストール形式を選択する画面が表示されます。
試しにカスタムインストールを選ぶと、以下のような選択肢が表示されますが、とりあえず全部選んでみました。
このあと、選んだShared SourceやWESTEKなどに対応した追加のライセンスの同意を求められた後、インストール内容が(Compact7と同じように)下のように表示されます。
今回DVDイメージからインストールしているのでレイアウトファイルの作成は不要です。Installボタンを押すとハードディスクへのインストールが始まります。当方の環境では30分くらいでインストールできました。
最後にWindows Embedded Developer Updateが紹介されます。これをインストールすると、アップデートのインストールが半自動的に行われるようになります。
Embedded Compact 2013をインストールする(その1)
これから何回かに分けてWindows Embedded Compact 2013のインストールの手順をまとめます。
1. 必要OSほか
- Windows7 (x86 または x64)
- Windows8 (x86 または x64)
- Windows Server 2008 R2 (x64)
- Windows Server 2013 (x64)
いずれもSPなし/SPありのどれでも可能とされています。
あとは、必要RAM 2GB、必要ハードディスク(NTFS)100GB、DirectX9対応ビデオカードとされていますが、RAMとハードディスク容量以外はVS2012の必要要件から来ているようです。
2. 必要ソフトウエア
- Visual Studio 2012 Professional/Premium/Ultimateのいずれか
- Visual Studio 2012 Update2 (以降)
- .NET Framework 3.5 SP1
- Application Builder for VS2012
VS2012本体以外は、それぞれのダウンロード元から無料でダウンロード可能です。今回Compact2013は英語版IDEしか提供されないので、VS2012本体は英語版を使うのが無難かもしれません。
Visual Studio 2012 Update2はそのままだとダウンロードインストーラが起動するだけなので、/layoutオプションを指定してあらかじめダウンロードを終わらせておくとよいかもしれません。(試してみたところ、計1.8GBのファイルがダウンロードされました)
3. Compact2013評価版をダウンロード
http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=39268
から評価版のDVDイメージをダウンロードできます。またオプションとして
Monotype iType for Windows Embedded 2013の評価版エンジンとYingHeiフォントをこちらからダウンロードすることができます。Monotype iType for Windows Embedded 2013はCCJK環境で利用することができるとされています。
4. インストールキーの入手
評価版をインストールするには、Micorosft IDでサインインする必要があります。
こちらから入手してください。
Windows Embedded Compact 2013 リリース
こちらでも紹介していたEmbedded Compact 2013 ですが、いよいよ一般に入手可能(GA)になりました。
ニュースリリース
http://www.microsoft.com/en-us/news/features/2013/jun13/06-13EmbeddedCompactGA.aspx
プロダクトページ
http://www.microsoft.com/windowsembedded/en-us/windows-embedded-compact-2013.aspx
評価版ダウンロード(Microsoft IDが必要です)
http://www.microsoft.com/windowsembedded/en-us/download-compact-2013.aspx
What's New (MSDN)
http://msdn.microsoft.com/en-us/library/gg154234(v=winembedded.80).aspx
開発環境としてはVS2012を利用し、対応CPUはARMとx86のみになるようです。
また「fast boot」「snapshot boot」という新機能が提供されるようです。
(そのほか説明されている内容はあまり変わり映えしませんが...)
Embedded Blogにも記事がポストされていますが、現状まだわからないことが多いですね。おいおい情報提供していきます。