Windows Thin Clientの概要
Windows Thin ClientはもともとCitrix社の開発したICA端末コンセプトを元にマイクロソフトが拡張したThinクライアントコンセプトです。Windows Thin Clientを実現する専用端末、それがWindows Based Terminal (WBT)です。
それはSUN / Oracleで構想されたJava Terminal (NC)に端を発します。NCに対するマイクロソフトの最初の反応はNetPCという、単にTCO削減を(ちょっとだけ)考慮した単なるパソコンでした。次に出てきたのがWBTで、コンセプト自体は元からあったCitrixのICA端末のものをそのまま借りてきただけのものです。ただ、Windows Serverにサーバー側ソフトが標準搭載され、クライアントソフトもWindows (XP)に標準搭載されているとなると話が変わってきます。
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/970421/kaigai01.htm
NC対Windows-based Terminal 両方に手を伸ばすターミナルメーカー
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971204/comdex11.htm
WBTで使用されるRDPプロトコルは、ICAと同等の機能をマイクロソフトがT.120ベースのプロトコルとして再実装したものです。製品としてのWBT端末はRDP、ICAの両方のプロトコルに対応し、これにはWindows CEを利用したものとWindows NT Embedded / XP Embeddedを利用したものの2種類があります。後者は以前WBT Proと呼ばれていました。これ以外に通常のWindowsパソコンで動作するRDPクライアントプログラムも存在します。
一方サーバー側製品としてはWindows NT Server 4.0 Terminal Server EditionとWindows 2000 Server、Windows 2003 Serverがあり、さらにWindows XP ProfessionalのTerminal Serviceにも接続することが出来ます。またCitrixではICAベースのサーバー製品(Windows Serverにインストールして使用する)とパソコン用ICAクライアントもあり、ICAでのみ実現される付加機能を利用したいユーザーに販売されます。
より実用的なサーバ・コンピューティングに向けて強化されたターミナル・サービス
http://www.atmarkit.co.jp/fwin2k/dnsvrguide/terminal/terminal_01.html
私がこれまで理解しているところではRDPの最新バージョンは5.5です。Windows XPにはもともとRDP5.1をサポートしたRDPクライアントが入っていますが、各サーバー製品のCD-ROMにはそのサーバーのRDPバージョンに対応する最新のパソコン用RDPクライアントプログラムが付属しています。
バージョン4.0 Windows NT Server 4.0 Terminal Server Edition
バージョン5.0 Windows 2000 Server、WBT Standard 1.5、Windows CE 3.0、Pocket PC 2002 & 2003
バージョン5.1 Windows XP、Windows XP Embedded、Windows CE.NET 4.1 & 4.2
バージョン5.2 Windows 2003 Server、Windows XP Embedded用Update
バージョン5.5 Windows XP MCE 2005 (?)、Windows CE 5.0、Media Center eXtender(MCX)
次期MCEこと“シンフォニー”の姿 ~自作PC用OSの本命となるか
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0910/ubiq77.htm
バージョン5.1以降はWindows CEでもRDP APIが使用可能になり、プログラムを書くことによって通常のRDP通信のチャンネル以外にも独自の通信チャンネルを設けることが出来ます。残念ながら開発中止になりましたが、次期Smart Displayで実現する予定だった、Out of BandのMPEG2再生機能はこのRDPチャンネルを利用して実現する運びだったのではないかと思います。
ディスプレイ以上、PC未満?――マイクロソフト、Smart Displayを国内発表
http://www.itmedia.co.jp/news/0301/14/nj00_smartdisp.html
Smart Displayにいつか“敗者復活”はある
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0401/21/news063.html
また、Webサーバーからブラウザに動的ダウンロード可能なActiveX版RDPクライアントも存在します。最新バージョンは5.2のようです。